年齢別にみるb型肝炎の治療法

b型肝炎の治療法を検討していく上では、年齢が一つ判断材料になります。乳幼児期の母子感染、成人してからの水平感染かでも経過が大きく異なりますし、慢性化した後の経過もさまざまです。b型肝炎ウイルス感染後の経過が多様なため、ここでは、年齢別の特徴や感染後の経過に応じた治療法などについて詳しく紹介しています。

セロコンバージョンが起こる

b型肝炎ウイルスに感染しても、すべての人が同じ経過をたどっていくわけではなく、個人により異なります。肝炎を発症した場合には、年齢とウイルス量、肝機能の状態や肝臓の線維化と炎症の程度を総合して、治療方針を決めていくことになります。

その決定を大きく左右するのが年齢です。主に35歳未満か35歳以上で区切られています。これは、セロコンバージョンという現象が関係しているからです。35歳未満、特に25歳以下においては自然にセロコンバージョンが起こって、肝炎が治る確率が高いです。

b型肝炎を発症すると、一時的にウイルス量が増加していきますが、多くの場合、免疫システムからの攻撃を逃れるためにウイルスが変異株に姿をかえるセロコンバージョンが起こってウイルス量が減ります。そのため、肝炎の症状が治まり、無症候性キャリアに落ち着きます。

このセロコンバージョンが起こりやすいのは、35歳未満でもウイルス量が少なく、25歳以下の人です。加えて、肝臓の線維化が中程度のF2レベルで、肝機能の炎症が中程度以上のA2レベル以上の人で、男性よりも女性のほうが起きやすいというデータもあります。

b型肝炎ウイルスを完全に排除することは難しいので、治療をしていくうえで、このセロコンバージョンが起きるかどうかは大きな意味を持っています。そのため、セロコンバージョンを起こすことを目標に治療をしていくケースもあるため、35歳未満で肝炎を発症した場合には、経過観察を続けながら待つというのが一般的です。


特殊なパターン

35歳未満であっても、炎症が強い場合や、2か月から3か月経過観察を続けていても、セロコンバージョンが起きない場合には、治療が検討されます。セロコンバージョンが起こらない場合は、急性肝炎から慢性肝炎に移行してしまうからです。

しかし、慢性肝炎に移行したとしても、そこでセロコンバージョンが起こり、無症候性キャリアに転じるというパターンもあります。一方で、セロコンバージョンが起きたとしても、慢性肝炎が再燃したり、肝硬変や肝がんに移行することもあります。

もともとb型肝炎ウイルスというのは、生命力が強く、感染力も強いウイルスです。その上、強い増殖力を持っているウイルスに変化することで、ウイルス活動をつづけ、病気がいつの間にか進行していることもあります。そのため、セロコンバージョンが起きたとしても、ウイルス量が陽性のまま多い状態が継続している人や、肝機能の状態を確認できるALTの値が基準値以上の人は要注意です。

一方で、ウイルス量が多くても、線維化がみられないF1レベルで炎症も軽度のA1レベル以下の場合は、無症候性キャリアと診断され、経過観察を続けることになります。基本的に、35歳未満は経過観察という路線になりますが、例外もあるので、きちんとした検査を受けることが大事です。

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35歳以上は治療が必要になる

35歳以上になると、自然経過にまかせてセロコンバージョンが起こる確率というのは非常に低くなります。そのため、未治療のままで肝炎が治まる可能性は低いです。ですから、治療の対象となります。35歳以上で、HBe抗原が陽性の人、HBe抗体が陽性でもALTの値が高い人、重症化が予想される慢性肝炎を発症している人は、抗ウイルス治療の対象です。

b型肝炎の治療では、核酸アナログ製剤、インターフェロン及びペグインターフェロン療法による治療と両者を組み合わせた、シークエンシャル療法が検討されます。その治療効果をアップさせるために、b型肝炎ウイルスの遺伝子型を調べます。

b型肝炎ウイルスの遺伝子型は全部で8種類発見されており、日本ではタイプA・B・Cの3種類が確認されています。このうちタイプAは、近年、日本で増え始めたもので、慢性化しやすいので注意が必要です。このタイプAのb型肝炎ウイルスに関しては、インターフェロン及びペグインターフェロンの治療が有効です。

インターフェロン療法は、ウイルスが感染している細胞に作用してウイルスの増殖を抑制する作用と、からだの免疫力を高めてウイルスの増殖を抑制するという作用があります。従来からあるインターフェロンは、HBe抗原陽性の人に使用できますが、ペグインターフェロンは、HBe抗原陰性の人にも対応でき、週に1回を48週間投与するため、高い効果が期待できるものです。

HBe抗原陽性の人は、セロコンバージョンにより陰性化し、HBe抗体が陽性となって、ALT、ウイルス量ともに基準値以下を目指していきます。一方、HBe抗原陰性であれば、ALTの値を避け、ウイルス量を少なくすることが目標です。

核酸アナログ製剤による治療

核酸アナログ製剤は、ウイルス遺伝子に作用して、増殖を抑える働きがあります。一日一回の服用でよく、重篤な副作用もほとんどありませんが、インターフェロン療法がおよそ1年で終了するのに対し、それ以上の長期投与が原則です。

現在、ガイドライン上では、全5種類のうち、エンテカビルとテノフォビル、テノフォビル改良型が第一選択薬となっています。それ以外に、ラミブジンとアデフォビルがあります。ラミブジンやアデフォビルは抗ウイルス効果が中程度、エンテカビル、テノフォビル、テノフォビル改良型は強く、テノフォビル改良型が最も良好です。

この5種のうちテノフォビルとテノフォビル改良型以外は、長期投与により耐性ウイルスが出現することがわかっています。対策としては、2剤併用することで、耐性ウイルスの出現を抑えることもできますし、テノフォビルやその改良型に関しては、それ以外の核酸アナログ製剤の耐性ウイルスにも対抗できますので、切り替えることも検討されます。

シークエンシャル療法とは

インターフェロン療法と核酸アナログ製剤を組み合わせる場合、一般的には核酸アナログ製剤を先に投与します。HBe抗原の量を減らしていき陰性化させ、ウイルス量も陰性化したタイミングで、核酸アナログ製剤の投与を続けながらインターフェロン及びペグインターフェロン療法をスタートさせます。

継続するうちに、HBs抗原が陰性化するので、そのタイミングで核酸アナログ製剤を中止すれば安全に服用を終了させることが可能です。インターフェロンは、48週続けるのが基本になります。シークエンシャル療法を行ってもウイルスが消失する確率は10パーセントから30パーセントです。

治療終了後も定期検査を受けることは欠かせません。もし再燃した場合には、核酸アナログ製剤の第一選択薬を投与することが推奨されています。